村田沙耶香『地球星人』の読書録
《村田 沙耶香(著)(2021)『地球星人』新潮社》の読書録です。
あらすじ・概要
- 自分を魔法少女と信じた奈月と、自分をポハピピンポボピア星人と信じた由宇はいとこ同士で、幼いながらも社会の不条理さと運命の非道さに虐げられながらも生き延びることを誓い合うが、ある事件をきっかけに疎遠となる
- 社会の同調圧力に嫌悪感を抱きつつも誓いを守り、奈月はやがて社会観を共有できる智臣と結婚し、その後由宇と再会する
- 3人はかつて奈月と由宇が誓い合った山奥の親類の家で、馴染めない地球星人の世界から逃避し、自分たちの真の姿であるポハピピンポボピア星人になるために共同生活を開始する
どこに特徴を感じたか
- 『世界 99』が社会への違和感に主人公や世界が対処した場合、の話に対して、『地球星人』は対処しなかった場合、の話といえる
- 社会構造への違和感、は村田沙耶香にとって扱いやすい・扱いたいテーマなのだな、と思う
どこに面白さを感じたか
- 社会構造というのは、確かに時に不条理に見えて生きづらさを感じさせるけど、基本的には社会で普通に生きていくための都合のいい仕組みであることは間違いない
- この小説を読む限り、主人公たちは要領が悪く、境遇とか運が悪かっただけで、実際のところ社会構造に問題がある、というばかりでもないのだ
- このあたり、世渡り上手な主人公をもつ『世界 99』とは対照的だと感じる